PhraseExpressはとても強力なツールですが、英語圏のツールであることから、日本語環境で使うにはちょっとしたコツが必要となります。
このことについては、こちらの記事([PhraseExpress]つまづきやすいポイントとその対処法 – 発動しない、余分に削除される、途中で止まる、文字化けする等)がとても参考になりました。
PhraseExpressの基本的な使い方は他のサイトをご覧いただいて、ここでは日本語環境での注意点や、効率的な使い方などのコツについて説明します。
1.発動すること
PhraseExpressは、以下のような構成でスニペットを登録します。
①Description
「説明」のテキストでPhraseExpressのメニューに表示されます。
②Phrase contet
挿入されるテキスト
③Autotext
トリガーとなる文字列
この例では「SD」と入力すると「スケジュール」という文字列が挿入されます。
ここで「Autotext」の前後のオプションに注意して下さい。
前のオプション「Prefix」では「Any」を指定しています。
これは「SD」というトリガーの前にはどのような文字が入力されていても良いということです。これが特定の文字や「Enterキー」の後などと設定すると、その条件の場合しか発動しません。
次に後のオプション「Postfix」では「None」を指定しています。これも「Prefix」と同様に、どのような文字が後に続くかにより発動するかどうかが決まります。「None」は「無し」ということですから「SD」の「D」が入力された瞬間に発動することになります。
この「Prefix」と「Postfix」の設定を間違えると、特定の条件でしか文字列挿入は発動しなくなりますので注意して下さい。
2.余分な削除(バックスペース)を防ぐこと
上記の設定でトリガーとなる「Autotext」を入力すれば確実にテキスト(スニペット)が挿入されるようになることが基本ですが、実際に使用しているといくつかの不具合が出てきます。
その一つが日本語入力環境における特殊な事情でおきる「余分な削除」です。以下の例を見てください。
この例では実用的ではありませんが、日本語環境での問題を分かり易く説明するために「katakata」というAutotextで「かたかた」というスニペットが挿入されるという設定をしています。
日本語入力で無い状態では何の問題もありません。
次に、日本語入力がONのときに同じことをしてみます。
なんと入力する前にあった「1234」というテキストが削除されてしまいました。
これは入力した「katakata」が8文字であったのですが、IMEは「かたかた」の4文字になるので「かたかた」の4文字を削除した後、残り4文字も削除してしまうからです。
日本語が一つの文字にたいして<母音>+<子音>の2文字で1文字を入力するという場合に1文字文余計に削除することになってしまうのです。
これを防ぐもっともスマートな方法はAutotextの最初の一文字を大文字にすることです。
これによりIMEはアルファベットそのものを入力するモードになるので「katakata」は「Kakata」となり、文字数が合致するのです。
このAutotextの先頭を大文字にすることにより、日本語入力中に不用意に発動することを防ぐこともできます。日本語入力中は大文字を入力しないので、入力した文字列の一部がたまたたAutotextに合致することが無くなるからです。
3.誤爆を防ぐこと
上述のような設定をしておけば日本語環境でも快適にPhraseExpresswを使う事ができますが、もう一つ気をつけなければならないことがあります。
それは「誤爆」と呼ばれる意図しない発動です。
以下の例では「Os」というAutotextに「思います」というテキストを定義しています。
この設定で「Osaka」と入力したいと思い、そのまま入力すると以下のようになってしまい「誤爆」してしまいます。
この問題は深刻で、このような「誤爆」が多発するとPhraseExpressは使い物になりません。
この問題のためにAutotextに記号を入れて回避する方法などがありますが、入力しにくかったり覚えにくくなるという欠点があります。
私もしばらくはこの問題に頭を悩ませていましたが、いい解決方法がPhraseExpressの機能の中にありました。
それは、いきなり発動させるのではなく、手動で確認する「Manual confirmation」という機能です。以下の例では、この「Manual confirmation」を有効にして、確認に「Enter」キーを指定している例です。
一行目は「Osaka」と入力しているのですが「Os」と入力した瞬間に画面上に「思います[Os]」と表示されます。これが「Manual confirmation」という機能ですが、ここでは「Osaka」と入力したいので、構わずそのまま「Osaka」と入力しています。
一方2行目では「Os」と入力したときに「思います」としたいので「Enter」キーを入力しています。
このように「発動させないときは、そのまま入力」「発動させたいときはEnterキー」となるので、非常に使い勝手が良くなります。
4.あえて誤爆する設定にする
「Manual confirmation」により誤爆を防ぐことができるようになりますが、私は一部の登録では、あえて誤爆する設定にしています。(Manual confirmationをオフにしています)
それは非常によく使う登録で、使うたびにEnterキーを押すコストと、誤爆させたくないときに回避する操作のコストを比較して、Manual confirmationをオフにしています。
私の設定例では「K1、K2、…、K0」をそれぞれ「(1)、(2)、…、(10)」に割り当てています。文書を作成では頻繁に括弧数字を使いますので、これらを入力するたびにEnterキーを押さなくても良いようにしています。
でも、このような設定の場合に「K1」と入力したい場合(めったにありませんが)はどうすれば良いのでしょうか?
それは「K.1」などのようにAutotextの間に余計な文字を入れて、後で削除すれば良いのです。
この記事を書くのには何回も「K1」と入力する必要がありましので、少し面倒ではありました((+_+))
以上が、私がPhraseExpressを効率良く使えるようにしているコツの全てです。PhraseExpressを利用しているかたの参考になればと思います。