「タッチタイピング」にまつわる「誤解」だと思うことについて書いてみます。
1.自己流でも十分速く入力できる
タッチタイピングは不要だという意見があります。単純な入力速度だけならそうなんですが「速く入力する」というのはタッチタイピングの全てではありません。特にかな漢字変換を伴う日本語入力では、タッチタイピングで入力することは、単に早く入力することだけではなく、もっと重要なことがあります。
それは画面を常に見ているので誤変換する確率がとても小さくなることです。タッチタイピングではなく自己流でタイプしている人は、変換中にキーボードを見ている場合があり、誤変換に気が付かない確率が高くなります。
もう一つは「疲れない」ということです。視線が移動しないので首の動きもありません。一日中パソコンに向き合うような仕事をしている人では、特にタッチタイピングの重要性が高いと思います。
2.タッチタイピングで早く入力できる
次の誤解は「タッチタイピングができる」という人がどのぐらい速く入力できるかにこだわることです。
実際は、単に入力が速いということよりも総合的な操作の速さが重要となります。総合的な操作の速さとには以下の要素があると考えています。
(1)頻繁に使用する操作キー
具体的には以下の操作キーをタッチタイピングできるかどうかが、総合的な操作の速さになりま す。
・カーソルキー
・BackSpace、Deleteキー(可能であればPageUp PageDown Home Endの操作)
・日本語入力の切り替え(半角全角キー)
タッチタイピングができるといっても、ほとんどの人はカーソルキーや半角全角キー、PageUp Homeなどのキーはキーをみながら操作するか、あるいは使わないことにしているかです。
これらのキーを、他のキーと同じように「タッチタイピング」できれば、相当な総合的な入力の速さが得られます。
(2)右側記号キー
右側にある記号キーは、かなりタッチタイピングが難しいのですが、あまり話題になりません。それは「[]{}^\~|」などの記号は通常の文章ではほとんど使わないからですが、プログラミングする場合には頻繁にそれらの記号キー使うことになります。
プログラムやマクロを書く人は右側記号キーへの対策を考えなければなりません。
特に「{}」や「_」は位置的には非常に打ちにくいですが、多くのプログラム言語で頻繁に使います。(JIS配列の場合)
US配列では、上記のキーは比較的打ちやすい位置にあるので、プログラムを書く人はUS配列を好むのかも知れません。
(3)ファンクションキー
ファンクションキーは、それほど使う機会がないという人もいるかもしれませんが、日本語入力をしている場合は、うまく使うと非常に便利です。
日本語変換中には以下のファンクションキーを使うと便利です。
F6: 全角ひらがな
F7: 全角カタカナ
F8: 半角カタカナ
F9: 全角英数
F10: 半角英数
これらのファンクションキーの操作をタッチタイピングするのは、かなり難しいですし、キーボードの種類によっては微妙に配置が違うものがあるので、より難しくなります。
(4)ショートカットキー操作
これはプログラムを書く人にとって、特に重要だと思います。
プログラミングでは、ソースコード一部を選択して、コピーして別の場所にペーストするなどの操作が頻繁に行うことになります。
具体的にはシフトキーを押しながら、カーソルキーを押してテキストを選択し、Controlキーを押しながらCを押す。
次に、貼付けしたい場所にカーソルキーで移動して、Controlキーを押しながらVを押す。
これらの操作をキーを見ずにスムーズに操作するのは、かなり大変です。
しかも、Controlキーの位置はなぜか非常に打ちづらい位置にあり、そのため、Controlキーの位置をソフトで変更したり、物理的に変更したキーボードも販売されています。
「タッチタイピングで素早く入力できる」といっても、上記のような操作では無意識にキーを見て操作していることが多く、そのために総合的な入力の速さが落ちたり、入力の正確さが劣るようになっているのです。
このように、編集中に行なうさまざまな操作をキーを見ずにホームポジションだけで操作できるように設計したのがホームポジションキーパーです。
では、具体的にコピー&ペーストの操作がホームポジションキーパーでどうなるか紹介します。
(1)テキスト選択
左小指でShiftキーを押しながら、Spaceキーを押して「L」キーを押してテキストを選択します。(カーソルから右側に選択する場合)
(2)コピー
Spaceを押しながらEを押してContorlキーをロックします。次にCを押して選択したテキストをコピーします。
(3)カーソル移動
Spaceキーを押しながら「J」キーを押して、貼り付ける場所までカーソルキーを移動させます。(下にカーソルを移動する場合)
(4)ペースト
Spaceを押しながらEを押してContorlキーをロックします。次にVを押して選択したテキストをペーストします。
お気づきでしょうが、上記の(4)ペーストは(2)コピーの文章をコピーして貼り付け、「C」を「V」に変更し「コピー」を「ペースト」に変更しました。
この作業は、まさしく上記手順で行ないましたが、全てホームポジションにあるキーの組み合わせですし、Controlキーも使わないので、物理的なControlキーの位置は全く気になりません。
今後は、マニュアルにも具体的な使い方のヒントも追記していこうと考えています。