・US配列 VS JIS配列
さて、今回はJIS配列をベースに記号類を統一して入力できるようにしたのですが、このことについてはネットでも議論が多く「US配列が優れている」という意見も多く見られます。
US配列が優れているという理由としては以下のようなものがあります。
(1)見た目がきれい
(2)中心軸(HとGの間)がキーボードの真ん中で美しい
(3)Enterキーがホームポジションに近い
(4)BackSpaseや右手小指で押すキーがホームポジションに近い
(5)記号類が入力しやすい配置
しかし、US配列には大きなデメリットもあります。
それは、多くのWindowsPがJIS配列であるために、個人ではUS配列で入力していても会社ではJIS配列になり打ち分ける必要があります。
一方で最近のBluetoothキーボードはUS配列のものが多く、個人で利用するときは逆にUS配列を意識して打ち分ける必要が出てくるといったジレンマが生じています。
では、なぜこんな不便な状況になったのだろうかと調べてみると以外なことが分かりました。
大まかな経緯は以下の通りです。
1:ASCII コード制定 [1963年]
まずは、文字コードが標準化されました。
この文字コードは2のシフトが「”」であり、今のJIS配列の数字シフトと合致しています。
2:Teletype 社が Logical Bit Paring 電動タイプライターを発売 [1967年]
このキーボード配列はLogical Bit Paringというもので、ASCIIコード表を見れば、数字とシフトで出力される記号が対応していることが分かります。
コード | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 2A |
文字 | ! | “ | # | $ | % | & | ‘ | ( | ) | |
コード | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 3A |
文字 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 |
このことから、当時は2のシフトが「”」がスタンダードになる状況だったのがうかがえます。
3:ANSI X4.14 が両論併記へ[1971年]
ここからが怪しげな話になってきます。どうやらIBMが自社のタイプライターの配列(2のシフトが「@」)を強く押して、スタンダードに割り込んできたということのようです。
4:JIS 配列がJIS C 6233として制定 [1972年]
国際規格との整合性を取るために、当時検討中であった国際規格ISO2530の原案がほぼ固まったことを受けて作成された。
これが現在のJIS配列のもとになっている。
しがたってJIS配列は日本が独自に制定したものではなく、国際規格を意識して制定されたもので、実際に2のシフトが「”」であるキーボード規格は多くの国で見られます。
5:ISO 2530 成立 [1975年]
国際規格としても正式に制定されました。
6:ANSI 4.23-1982成立[1982年]
アメリカは国際規格とは別途ANSIで2のシフトが「@」であるキー配意列を制定した。
なんと、このような経緯があって現在の日本でも「JIS配列」「US配列」の議論がなされており、実際に2つのキー配列が市場に出回っているという状況になっています。
このことを考えれば「JIS配列」「US配列」どちらのキーボードでも同じ打鍵で入力できるツールの作成の意義は大きいと考えています。
そして「JIS配列は入力しにくい」といった問題も次のように根本的に解決できていると思います。
(3)Enterキーがホームポジションに近い
(4)BackSpaseや右手小指で押すキーがホームポジションに近い
(5)記号類が入力しやすい配置
上記のいずれもが、今回作成したツールを使えば「ホームポジションに近い」から「ホームポジションに配置」となります。同時にスペースキーを押すというデメリットはありますが、ホームポジションで入力できるので、それを上回るメリットが得られると考えています。
(1)見た目がきれい
(2)中心軸(HとGの間)がキーボードの真ん中で美しい
これらは、キーボードの見た目なので、美意識の問題だと思います。
キーボードの機能としてはホームポジションだけでUS配列とJIS配列のキーボードをタッチタイピングできるのは大きなメリットだと考えています。