日本語用スニペットツールazasu(3)

スニペットツールの問題として、どのようにして定型文を挿入するかという点があり、今回はその点について説明します。

定型文の挿入方法

挿入方法といっても、登録した文字列を挿入するだけじゃないか?と思われるでしょうが、その挿入方法には大きく分けて2つの方法があり、それぞれ一長一短があります。

定型文挿入方法1 キー入力する

キー入力するのは素直な方法です。人がタイプするのと同じようにキー入力を自動的に行うという方法です。ところが、日本語環境ではこれが思わぬ問題になることがあります。それは日本語環境の場合、キー入力には2つのモードがあるという特殊な事情があるからです。

例えば「おはようございます」という定型文はローマ字入力の場合は「ohayougozaimasu」というキー入力になります。これがIMEがオンのときは「おはようございます」となりますが、IMEがオフのときはキー入力のまま「ohayougozaimasu」という定型文?が入力されてしまいます。

逆に「internet」という定型文はIMEがオフのときは「internet」とキー入力されますが、IMEがオンのときは「いんてrねt」と中途半端に変換された定型文?が入力されてしまいます。

つまり、素直にキー入力する方法ではIMEの状態により望ましくない定型文が挿入されるという問題があります。

定型文挿入方法2 クリップボード経由で貼り付ける

このような問題があるので、スニペットツールの中には定型文をクリップボード経由で貼り付けるものがあります。貼り付けなのでIMEのオン・オフに関わらず確実に指定した定型文を挿入することができます。また、貼り付けは挿入を速く安定して行えるというメリットもあります。

ただ、この方法はクリップボード経由なので、ユーザーがコピーしておいたクリップボードの内容が定型文に置き換わってしまうという問題があります。しかし、PhraseExpressのようなツールではこのような問題が起きないようにユーザーのクリップボードを壊さないように工夫しているものが多いです。

クリップボード経由方式の問題

ユーザーのクリップボードを壊さないでクリップボード経由で定型文を貼り付ける方法は非常に優れた方法ですが、Windowsにクリップボード履歴を管理する機能が追加されたことにより一つ問題が発生しました。

それは、ユーザーのクリップボードは壊さないですが、クリップボード履歴には定型文が残ってしまうという問題です。クリップボード履歴を使わないユーザーには影響ありませんが、クリップボード履歴機能を使っているユーザーがこのようなスニペットツールを使うと、すぐにクリップボード履歴が定型文で埋められてしまい、ユーザーがコピーしたクリップボードが使いにくくなるという問題が出てきました。

azasuの解決方法

azasuでは、速くて安定したクリップボード経由方式で定型文を挿入していますが、ユーザーのクリップボードを破壊しないと同時にクリップボード履歴も破壊しないようにしています。そのためクリップボード履歴機能を使っているユーザーはazasuを使っても影響を受けません。

PhraseExpressでは、独自のクリップボード履歴機能があるので、それを使うという方法もありますが、PhraseExpressはテキスト形式のクリップボード履歴しかないので少し不便さが残ります。

おそらく、クリップボード経由で定型文を貼り付けるツールでクリップボード履歴を壊さないのはazasuだけだと思います。

まとめ

定型文を挿入するにはキー入力をエミュレートする方式とクリップボード経由で貼り付ける方法があります。速さと安定性からクリップボード経由方式が優れていますが、クリップボードやクリップボード履歴を壊すという欠点があります。

azasuはクリップボード経由方式にも関わらず、クリップボードやクリップボード履歴を壊さないという特長があるので、クリップボード履歴を併用して活用することができます。

次回は、azasuの3つめの特長である日本語環境下でのキーワードの制限について説明します。

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