日本語入力改良 ART

これまで、日本語入力の効率化について「AZIK 」そして「ローマ字互換単打 RGT」といった方式を開発してきましたが、もう少し工夫ができないか継続して考えていました。その前提条件は次の通りです。

(1)学習コストが低いこと
(2)ローマ字入力からかけはなれないこと

実際にRGTで入力し続けてましたが、やはり特殊な単打(Z:き P:こ B:の など)は、入力効率はかなり高くなるのですが、やればやるほど元のローマ字入力がしづらくなりました。(ついついZ、Bに指が行く)

当り前のことですが、思ったより「慣れ」は強力で、改めてローマ字入力からかけはなれないことが重要だと認識しました。また、これらの特殊な単打は学習コストも高く習熟するため時間と労力を費やしました。

それを踏まえて、更に学習コストが低く、ローマ字入力に近い入力方法でしかも入力効率が高く維持できないか検討を続けていました。

その結果、ART(AZIKローマ字単打)という入力方法を作るに到りました。これは文字通りAZIKとローマ字単打を組み合せたものですが、学習コストが低く、ローマ字入力との互換性も向上し、しかも入力効率もかなり高いものになりましたので、以下紹介します。

1.学習コストの低くしてAZIKに慣れる

ローマ字と互換性の高いAZIKでも、初めてその入力方法の説明を見たら「自分にも習得できるだろうか?」と不安になると思いますし、多くの方は少し試しすとミスタイプが増えるのでやめてしまうのではないかと思います。

そこで、まず最初は「長押し」機能を使ってAZIKの便利さを簡単に実感できるようにしてみました。

具体的には、母音「あいうえお」を長押しすると「あん」「いん」「うん」「えん」「おん」の撥音になるようにしました。(長押しする時間は設定可能で調整できます。初期設定は0.2秒)

また、「KSTNHMYRWGZDPJF」の子音を長押しすると二重母音「あい」が入力されるようにしました。(Kを長押しすると「かい」が入力される)

長押しするという、ほぼ学習コスト0でできることの効果は大きく、以下の入力が長押しを覚えるだけで可能になります。

①撥音の組合せ

山間(さんかん)、寒暖(かんだん)、散漫(さんまん)、炭酸(たんさん)、簡単(かんたん)

②二重母音「あい」の組合せ

開催(かいさい)、最大(さいだい)、采配(さいはい)、題材(だいざい)、内在(ないざい)

③両者の組合せ

解散(かいさん)、関西(かんさい)、財産(ざいさん)、大胆(だいたん)、寛大(かんだい)、最短(さいたん)

など、非常に応用が多く、長押しを覚えるだけで随分と入力が楽しくなるのではないでしょうか?

 

2.長押しの功罪

このように長押しを使えば「ほぼ学習コスト0」でAZIKの良さや楽しさが分かるので、入口としては、かなり面白く裾野が広がるのではと思います。

一方、長押しを使うことによる弊害も発生します。それは入力速度が落ちてしまうか、ミスタイプが多くなるかどちらかになってしまうことです。長押し判定の時間を長くすると入力速度が落ちますし、短くするとミスタイプ(意図しない撥音や「あい」の挿入)が発生します。

やはり、確実な入力を素早く行なうには、多少の学習コストをかけても、専用のキーを覚えることになります。次のバージョンのホームポジションキーパーでは、長押しのON/OFFを設定ファイルで指定できるようにしています。最初はAZIKの入り口として長押しをONにして、慣れてきたら専用のキーを覚えて長押しをOFFにすることを想定しています。

それは、ちょうど子供が自転車に乗ることを覚えるのと同じように、最初は補助輪(長押し)を使って自転車に乗ることを楽しみ、次にもっと自由で高度な補助輪無しの自転車の乗り方をマスターするプロセスに似せてみたのです。

では、少し長くなりますので、これ以降は次の記事で説明します。

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